内ノ倉川 石ミキ沢
期間:平成15年8月10日〜11日
メンバー:小谷部,斎藤(憲)
10日
 曇り空の中,西会津を5時過ぎ出発し,約1時間で内ノ倉湖(内ノ倉川入口)に到着するが,雨が降っている。天気は,今日,明日とすこし回復し,12日から下り坂の予報であったが,初っ端から裏切られた。これから天気は回復するはずなので,暫く車の中で待つことにするが,雨は断続的に降り続けなかなか止まない。2時間ほど待って,ようやく晴れ間が出てきたので準備をし,9時に車を後にした。
 雨上がりの林道を歩いていると,メジロが数匹飛んできた。通年の内ノ倉川なら,この時期はメジロの大群がわんさかやってきて,非常に不快な思い(発狂するかも?)をするはずなのだが,異常気象のせいか気になるほどやってこない。1時間20分で焼峰沢出合を通過。ここから石ミキ沢出合までは一部不明瞭になるが,西ノ峰に登る廃道となった登山道が残っており,30分程で石ミキ沢出合上部に降り立った。
 石ミキ沢は台風の影響で増水している上,少し水が濁っているため水流の石がよく見えず歩きにくい。沢は出合から狭いゴルジュ地形が続くが,滝などは少なくどんどん進む。西ノ峰への旧道が横切る地点で,2段(20m程度)の大滝が現れるが,右岸の旧道を使って簡単に巻けた。要平沢出合から狭い絶壁がそそり立つゴルジュとなり,そのどん詰まりで右の壁から水が大量に流れ落ちている。もちろん直登不能なので,要平沢出合まで戻り左岸を高巻く。藪を漕いで滝の落ち口まで来ると,すぐ先に大滝が二つほど見えるのでまとめて巻く。沢に戻ると,暫く巨岩のゴーロ帯が続き,高度を稼ぐと,7m程のチョックストーンのある滝が出てきた。右岸の壁にザイルを伸ばして通過する。その後も7m前後の滝が数個出てくるが特に問題なく,入渓前に予想していた険悪なゴルジュは出てこなかった。しかし何でもないと思われた草付のヘツリで足下が崩れ,2,3m下のゴルジュに落ちかかった時はヒヤッとした。幸い左で掴んでいたウドがきいて滑落を免れた。今まで草はは信用しないことにしていたが,チョットだけ草の力を見直した。Co620の二股を過ぎると両岸が狭まったゴルジュ地形になり,5m程の直瀑が出てきた。左岸にザイルを伸ばして高巻くが,上部が草付となり個人的には嫌らしかった。(草付が大嫌いな為),結局この日は,Co690二股上部まで足を伸ばし泊まることにした。また,夜中に2,3回にわか雨が降った。明日の天気が心配だ。
11日
 4時半に目を覚ますと,空は曇っていた。週間予報では今日が一番良い天気なのにぱっとしない。7時頃出発し,40分ほど歩くと3段の大滝が出てきた。遠目で高巻かと思ったが,近くまで行くと,思ったほど傾斜がなく簡単に登れた。大滝を過ぎると二股が出てきた。当初の予定では,この二股を西ノ峰に突き上げている右側の沢に行くずだったが,この時は手前の二股と場所を勘違いしてしまい左に行ってしまう。すると7m程のハングした滝が出てきたので左岸を高巻く。さらに10m程の2段の滝を越えると,また二股が出てきた。ここでようやく間違ったことに気が付くが,このままいってもたいして変わらないだろうと右の沢を詰める。沢はしだいに狭くなり水も涸れるが,緩いスラブが延々と続き,たいした藪漕ぎもなく西ノ峰の南西側鞍部に出た。この尾根はかつて登山道があったはずだが,その面影は全くない。予定では,この尾根を少し下りてから内ノ倉川に下ることになっていたが(途中で1泊),目前に濃密な薮に覆われた小ピークが立ちはだかり,行く気が萎える。2人で木に登り周囲の天気を伺うが,余りぱっとしない。ラジオを出して天気予報を聞こうとしても,11時という中途半端な時間のせいか何処でも天気予報をやっていない。2人とも昨日の夜中の雨と沢の水量が多かったのが気になり,なかなか内ノ倉川を下る気持ちが沸いてこない。結局,目的の石ミキ沢は遡行しているので,西ノ峰経由で飯豊川の林道に下りている,赤津山の鉄塔点検道を使ってエスケープすることにした。
 鞍部から30分ほど薮を漕いで目的の点検道を探し出し,そこから2時間40分で飯豊川の林道に着いた。林道にはちょうど釣り屋がいてその脇にはチャリンコがあった。これから長い林道歩きが待っているので,何ともうらやましかった。なお,この林道は現在車両通行止めで車は入れないことになっている。ここからメジロの大群にまとわりつかれ,雨にも降られ,たっぷり2時間かけて加治川ダムまで歩いた。そして加治川ダムでダム管の人に遠く新発田からタクシーを呼んでもらい,内ノ倉湖に置いてある車に戻った。
記 小谷部